特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
一冊、となると、何にするか、なかなか悩むのですが、その後の人生を決めた一冊となると、やはりこの本になります。
有名な本だと思うのですが、パーソナルコンピューティング以前の時代から、歴代のハッカー*1が繰り広げる英雄伝を記した本です。
特に好きなのは第1部、TMRCというMITの鉄道模型クラブの面々の活躍を描いた部分です。
当時のコンピュータはパンチカードにあらかじめプログラムを記述し、パンチカードをコンピュータ室の偉い人に提出して、何時間か後に結果をプリントアウトした紙を受け取るというものでした。今では信じられないかもしれませんが。*2
そこでTMRCのハッカーたちは、毎晩深夜に大学のコンピュータ室に忍び込み、ミニコンの配線を勝手にいじって、インタラクティブに操作できるようにして遊ぶようになるのですが、大学側を出し抜く下りが実に痛快で、わくわくしました。同書にはジョン・マッカーシーをはじめとする、コンピュータサイエンスの巨人たちも多数登場し、AI研究なる学問領域が存在することもこの本で知りました。
じつは、筆者はプログラミングに興味をもったのは、筆者の世代としては比較的早く、プログラミングを覚えたのは小学5年生でした。しかし、当時とても高価だったPCは買ってもらえず、いつしかコンピュータへの情熱を忘れてしまっていました。
ところが、どういうきっかけかもはや忘れてしまったのですが、この本を読んで再びプログラミングへの興味が戻ってきたのでした。そして、C言語を覚え始めると、必然的にUnixに興味が出てきて、就職先もそういったコンピュータが触れるところを探して就職しました。
そういえば、そもそもコンピュータとプログラミングに出会ったのも小学5年生のころ、インベーダーゲーム華やかなりしころ、近所の本屋で見つけた「I/O」誌がきっかけでした。
親にBASICの本を買ってもらって、頭の中でコンピュータの動作を想像しながらBASIC言語を習ったの覚えています。あと、READ/DATA文だけはぴんとこなかったのも覚えています。今で言うところのヒアドキュメントみたいなもので、直感的でない構文は取っつきにくいですね。
「I/O」誌1979年7月号・8月号 裏表紙は当時ESDラボラトリという会社が輸入していた、AppleIIの広告でした。周辺機器をそろえると、今のMacProのフル装備より高価でした。
というわけで、もしかすると工学社という出版社がなかったら、今の自分は無かったかもしれないな、と思います。
本書の名言、
Live to hack, hack to live. "ハックするために生き、生きるためにハックする"