日航機123便墜落事故の数年後、ゼミの先生の計らいで日航の現役パイロットの方とお話しする機会があった。
印象に残ったので記しておく。ずいぶん前の話なので、言い方や内容など、あくまで曖昧な筆者の記憶に基づくものであることをお断りしておく。
事故の当日、その方は事故にあった日航機123便の1時間後に出発する大阪行きの次の便を操縦していたという。事故の一報を聞かされたのは伊丹空港に到着してからだったとのことで、これは運行に影響がある場合を除いて、事故の情報は操縦中の他のパイロットには伝えないことになっているためだそうだ。
「事故の後、飛行機を操縦するのが怖くなかったですか?」と聞くと。
「いや、むしろ地上にいて、自分が飛行機を操縦していない時間を過ごすのが不安だった。自分が操縦している時は、自分がフライトに関する状況をコントロールできているという確信を持つことが出来る。『いまこの瞬間、整備された機体で十分に検討された手順に従って何の問題もなくフライトが続けている』と思うと一番安心できるね。だから、あの事故の後しばらくは、次のフライトを待ち遠しく思う気持ちを持つ時期があったことは確かだね。」
当時学生だった自分は、プロフェッショナルってかっこいいな、と思った。